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bP0 一人の毎日

2008-04-16 23:15:07
  忠はまた一人で寝る布団が広くなってから数日がたった。
今子は朝早くに仕事に行き、兄弟二人も変わりなく親戚に預けいられ、誰もいない部屋でただ布団に寝ているだけの忠だった。病床にいた判作はもうなく、眠る度に隣にいる夢を見た。しかし、夢から覚めると一人の自分がいた。判作を思う度に悲しくなった。一しきり泣き天井を見ているうちに涙は乾き、時おり天井のシミが不気味なものに次々と模様を変えた。長い髪の幽霊、大きな目玉、鬼の顔と言った具合に。眼をつぶりそれらを見ないようにしても、やぱり見てしまう。
怖くて背中が寒く、鼠の足音さえもびくついた。そんな毎日が何日もつづく。
 今子が出かけて二時間も経つと、トイレをしたくなる。でも自分では出来ない。漏れそうになる度にチンチン堅くつかみ我慢するほかなかった。
 時間をおいて祖母が来てくれていたが、我慢できず小便が漏れることもあった。祖母はそこで少し早いお昼を忠に食べさすと、また自分の家に戻って行った。時より親戚の家から妹が遊びながら顔を出しに来た。そして「ターチー、げんきー」と声をかけ、また外に飛び出していった。なんの目的があったのか分からないが、妹なりに気にかけていたのだろうか。
 夕方、母、今子が帰ってきた。頭にかぶっていた手拭いをとり、泥で汚れた手で忠をトイレに連れて行った。気づくと二人の兄弟たちも忠の傍で遊んでいた。夕飯が終わると、少しの安堵の時があった。
 春が過ぎて夏、秋となり冬。忠の同じ日常が続いていた。
週に二度、親戚の家にお風呂に入りに行った。その家に入ると、伯父と伯母と二人の子供が御膳を囲んでいた。しかもあまり普及していなかった、でかいカラーテレビを見ながらの
だった。
忠は今子の背中から部屋の隅に降ろされた。白黒のテレビすら見たことないのに、その上の色のついたテレビにいつも驚きだった。お風呂が目的でテレビを楽しむゆとりはなかった。
 親子三人お風呂をもらった帰り道、冷い風が吹く夜もあっ
た。今子は忠を背中におぶい腕にはまだ小さい弟を抱え家に急いでいた。その横を妹が今子の服の裾をつかみ歩いていた。
今子の背中で暗い夜空に無数の星の輝きを忠は見ていた。平屋で木造造りの借家に三人は入った。今子が裸電球をつけた。そこには冷たい空気と六畳の真ん中に丸い御膳とが置かれているだけの部屋だった。
 親戚たちも忠たちの生活を憂いでいた。いつの頃からか、その親戚から、母、今子の再婚の話が出るようになっていた。今子は再婚の意思はなく断っていた。だが、親戚や祖母は
、゛子供たちのため゛と再婚の話を進められ、押し切られた形となった。再婚相手となる人も韓国人で、お風呂に入りに行く親戚の家に人足として寝泊まりしていた。

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 人が亡くなったのを惜しむように、時はゆるゆると過ぎていってくれればいいのですが…… 文学ではないので、生理の上に成り立つ生きる現実は厳しいのだと改めて思いました。
Posted by:みず.まきこ at 2008年04月30日(水) 11:19

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